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トピックス/コラム詳細

2021年07月26日
コラム

弁護士:久保井 聡明

久保井L⇔O通信21.6.2-6.30(入居者死亡と告知義務,民事再生オンライン投票,ラジオに出ました,高齢者向け予約型代理人サービス,特商法改正成立,ワクチン職場接種の留意点)

147. 【入居者死亡の事故物件と告知義務の指針案】21.6.2
いつもお世話になります。(今日は上田弁護士からの情報です)

さて、日経新聞(21.5.30)で、「国土交通省は30日までに、入居者らが死亡した「事故物件」について、不動産業者が売買、賃貸の契約者に告知すべき対象をまとめた初めての指針案を公表した。病気や老衰、転倒事故による死亡は告知の対象外と明記。殺人や自殺、火災による死亡は告知すべきだとしたが、賃貸は発生から3年経過すれば不要とした。6月18日まで一般から意見を募った上で決定する。事故物件は宅地建物取引業法で告知の必要があるが、明確なルールがなく具体的な扱いは業者の判断に委ねられていた。そのため入居後、訴訟に発展する例もあった。指針に強制力はないが、業者に周知してトラブルを未然に防ぐ狙いがある。」と報道されました。私も過去に同じような相談を受けて悩んだ事がありました。下記、パブコメに付されている指針案です。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000219027

 

148. 【ビットコイン業者民事再生,オンライン投票へ】21.6.4
さて、昨日(21.6.3)の日経新聞で、「2014年に経営破綻した暗号資産(仮想通 貨)交換業者マウントゴックスの民事再生手続きが新たな段階を迎えた。再生管財人が5月31日に再生計画案に対するオンライン投票システムを公表。ビットコイン価格が急騰したことで返還原資は確保されており、計画案が可決されれば、 約3万5000人の債権者にとっては債権額の大半が返ってくることになりそうだ。」との報道がされています。債権額の大半が返ってくるというのも異例ですが、オンライン投票というのも異例ですね(下記URL)。報道によると、「世界中に債権者が散らばっており、東京地裁と弁護士が協議してオンラインによる投票システムを認めることになった」とのことです。

民事裁判IT化に続いて、破産や執行、保全などのIT化も今後検討されることになっていきますが、その先駆けになるかもしれません。
https://www.mtgox.com/img/pdf/20210531_announcement_ja.pdf

 

149. 【ラジオ番組に出演しました】21.6.7
今日は閑話休題。お知らせしていますように、4月から大阪弁護士会の副会長を務めていますが、大阪弁護士会は毎日放送のラジオ番組「となりの弁さん」を提供して広報活動を行っています。私も5月31日放送の番組に出演させていただ きました。初めてのラジオ番組で、レアな法律相談だったもので緊張しました が、何とか無事終了しました。大阪弁護士会のHP(下記URL)に放送の録音がアップされています。ご興味のある方は、一度お聞きいただければ嬉しいです。
https://www.mbs1179.com/ben/

 

150. 【高齢者向け「予約型代理人サービス」】21.6.9
さて,bcc通信113(21.2.19)で,「全銀協・認知症高齢者親族等の預金取引などの考え方公表」という配信をさせて頂きました。

(1)
【bcd113の抜粋】
認知症などで高齢者が預金を自ら引き出せなくなり、代わりに親族らが求めた際に銀行はどうするかについて,昨日(21.2.18),全国銀行協会が,「金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関との連携強化に関する考え方」をまとめました(下記,全銀協のURLです)。

2012年時点で65歳以上の高齢者のうち認知症の方の数が約462万人と推計されて いるのに対し,2018年12月末で成年後見制度の利用総数が22万人にとどまっている,という状況を受けてのとりまとめ,ということのようです。
https://www.zenginkyo.or.jp/news/2021/n021801/

(2)この点について,朝日新聞(21.6.9)で,「三菱UFJフィナンシャル・ グループは、「予約型代理人」サービスを3月下旬から始めた。同行の顧客が、 認知・判断能力の低下に備え、あらかじめ金融取引の代理人を指定できるサービスだ。代理人は本人に代わり、預金の引き出し、株式や投資信託の売却などの手続きができる。ポイントは、代理人取引が可能になる時期。サービス利用を申し込んだ時点ではなく、金融取引の判断が本人では難しくなった後から、となっている。ただし、判断能力の有無を金融機関の窓口で判別するのは難しい。そのため同グループでは専用の診断書を準備、病名のほか「金融取引の判断能力」につ いて医師の診断項目を設けた。診断書提出後から代理人が取引できるようになる仕組みだ。利用手数料はかからない。代理人になれるのは原則、配偶者や2親等内の血族だが、それ以外の親族や「パートナー」を指定することもできるとい う。」との記事が出ていました。

(3)下記,三菱UFJフィナンシャル・グループの発表内容です。一定,踏み込んだ内容になっているように感じました。
https://www.mufg.jp/dam/pressrelease/2021/pdf/news-20210308-001_ja.pdf

 

151. 【特定商取引法改正案成立】21.6.14
さて、bcc通信109(21.2.9/訪問販売クーリングオフ,メールでOKの法改正?)でお伝えしていた、改正特定商取引法が、6月9日、参院本会議で可決、成立しました。

通信109で、私は、「現在は書面に限られている訪問販売などのクーリングオフの通知を、電子メールなどでもできるよう法改正」を目指すものとして、プラス評価のコメントを記載していました。しかしながら、当事務所の上田弁護士によると、もともと、これまでも口頭でのクーリングオフの有効性を認める裁判例もあり、むしろ今回の改正は、これまでは必ず紙の書類でなければならなかった契約書面の電子化を認めるもので、高齢者などが、本人や家族も気が付かないうちに被害に遭ってしまうケースが拡大する、という反対意見も少なくなかった、ということのようです。このため、政府は今後、防止策(契約書面の電子化の消費者からの事前承諾の具体的手法など)を検討し政省令を定める方針、ということです。以下、消費者庁の改正概要です。
https://www.caa.go.jp/law/bills/assets/consumer_transaction_cms202_210303_01.pdf

 

152. 【バーチャルオンリー総会の特例法成立】21.6.・17
さて、bcc通信108(21.2.8/上場会社のバーチャルオンリー総会の特例立法化へ)でお伝えしていた「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」が、6月9日、参議院本会議で賛成多数で可決,成立しました。

日経新聞によると、「政府は早ければ月内に開く株主総会から完全オンライン化を解禁する予定だった。競争力強化法改正案の条文に複数の間違いがあったため 国会審議が遅れ、想定より成立に時間がかかった。招集通知の印刷や発送などの時間を考えると、6月の総会での解禁は間に合わなくなった。」とのことです。

バーチャルオンリー総会の対象は、上場会社が経産大臣及び法務大臣による確認を受けた場合に限定されています。

ただ,今日の日経新聞(21.6.17)には,機関投資家が,完全オンライン形式の総会を可能にする定款変更議案に対し,株主とのコミュニケーション阻害の恐れがあるとして厳しい目を向けている,と報じられており,急速に広がるという状況ではなさそうです。

 

153. 【ワクチン職場接種の留意点】21.6.30
みなさんはワクチン接種を受けられましたか?私はまだ接種券待ち,の状態でいつになるのか,まだ先のようです。

さて,日経新聞(21.6.22)に,「新型コロナウイルスワクチンの接種を巡り、 職場での配慮を欠いた言動が問題となる「ワクチンハラスメント」が相次いでいる。アレルギー反応など副作用を心配する人は少なくないが、接種を断ったことで退職を迫られた例もある。打つかどうかの判断は本人の意思で決められ、義務ではない。配慮を怠れば企業などが法的責任を問われるリスクもある。」との記事が掲載されていました。

あくまでもワクチン接種は本人の任意です。一方,職域接種の場合には,同調圧力がかかりやすいという構造的に難しい問題があります。この点,日本産業衛生学会が,「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド補遺版(職域接種 の Q&A)」を公表しました。末尾URLです。

接種後に発熱した従業員に対しては出勤を控えるよう指示をした方がよいですか(7頁~)
事業所は職域接種を行う法的な義務があるのでしょうか(9頁)
従業員がワクチン接種をするかどうかについて人事部としては、把握しておきたいと思います。 業務命令として当該報告を求めることは可能でしょうか︖(10頁)

など悩ましい問題についても,1つの見解を示しており参考になりそうです。
https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide-add210621koukai.pdfv