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トピックス/コラム詳細
- 2020年12月28日
- コラム
弁護士:久保井 聡明
久保井L⇔O通信20.12.8-12.28(地面師詐欺,夫婦別姓最高裁大法廷判決へ,自衛隊看護官,銀行業規制緩和,労働者協同組合,最高裁上場支援証券会社の責任認める,再審,SDGsセミナー案内)
82. 【地面師詐欺事件調査報告書公表】20.12.8
地面師詐欺事件の被害にあった大手ハウスメーカーが,調査報告書を公表したと報道されています。同業の企業にとって,色々教訓が含まれているように思います。下記,ホームページで公表された報告書です。
https://www.sekisuihouse.co.jp/library/company/topics/datail/__icsFiles/afieldfile/2020/12/20201207.pdf
83. 【夫婦別姓最高裁大法廷が再び判断へ】20.12.11
報道によると、夫婦別姓を認めず、婚姻届を受理しないのは憲法に違反すると訴えた3件の家事審判で、最高裁第二小法廷(岡村和美裁判長)と第三小法廷(林 道晴裁判長)は、長官と判事の15人全員がそろう大法廷(裁判長・大谷直人長官)で審理すると決めた、とのことです。すでに大法廷は2015年の判決で、夫婦同姓を定めた民法規定を「合憲」と判断していますが、今回、どのような判 断がされるか注目されます。関連する条文は次のとおりです。条文上では,当然,婚姻後,夫の氏,妻の氏のいずれを称してもよいことになっていますが,実際には夫の氏を称する夫婦が大半,という状況になっています。
【民法】
(夫婦の氏)
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
【戸籍法】
第七十四条 婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 夫婦が称する氏
84. 【自衛隊の看護官派遣】20.12.14
新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、政府は看護師資格を持つ自衛官「看護官」を、北海道旭川市に続き大阪府にも7人派遣しました。自衛隊の派遣は豪雨 や地震など大規模災害で定着していますが、今回のような感染症はで新たな対応となります。この点、今回の派遣は下記の自衛隊法に根拠があります。新型コロナウイルスの感染拡大が「災害」であると捉えての派遣です。
【自衛隊法】
(災害派遣)
第八十三条 都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。
2 防衛大臣又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。ただし、天災地変そ の他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。
85. 【金融庁が銀行業の規制緩和】20.12.17
金融庁が、昨日の審議会において,銀行ができる事業の範囲を広げるように規制を緩和する方針を決めた,とのことです。具体的には,顧客データを活用した広告ビジネスや、自前のITシステムの販売など、銀行の経営資源を活用した事業を幅広く認める方針,とのことです。銀行は,現在,低金利の長期化に苦しんでいますが,本業以外で利益をあげられるような環境をつくる,という意味があるようです。
86. 【労働者協同組合】20.12.22
さて,働く人が自ら出資し、事業の運営に携わる協同労働という仕組みの組織に、「労働者協同組合(労協)」という法人格を認める新しい法律が,先日まで行われていた臨時国会で成立しました。協同労働は,訪問介護や学童保育、農産物加工品の販売などに広がっている,とのことで,法人化で信用が高まり、活動しやすくなるメリットがある,と期待されているようです。下記,労働者協同組合法について説明している厚労省のHPのURLです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14982.html
87. 【最高裁→上場支援主幹事証券会社の責任認める】20.12.23
さて,昨日(20.12.22),最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は,金融商品取引法(21条1項3号,4号,2項2号,22条など)の解釈が争点になった裁判の判決で,会社の上場支援で中心的役割を担う「主幹事」の証券会社は、会計監査に重大な疑いを示す情報を知った場合、きちんと調べなければ賠償責任を負う,として,株主に対する主幹事の賠償責任の範囲を初めて示しました。
この事件では,株式会社エフオーアイが,東証マザーズへの上場申請を行うに際し,みずほインベスターズ証券が,東証に対して主幹事会社として推薦書等を提出し,その後,上場したところ,後に,実は有価証券届出書の売上高が実際には約1億9200万であったのに,約94億9600万とされている等の虚偽記載 がされていることが判明しました。この点,みずほインベスターズには,上場審 査前に,2度にわたって,エフオーアイではほとんどが粉飾であるる,との投書が来ていましたが,十分な調査をしないままに引受審査を終えて元引受を行った,という経過のようです。
下記,裁判所HPで判決が掲載されています。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89915
88. 【袴田さん事件の再審】20.12.24
さて,最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は,12月22日,静岡県で1966年にみそ製造会社の一家4人が殺害された強盗殺人事件で、死刑が確定した元従業員・袴田巌さん(84)について、裁判をやり直す再審を認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を高裁に差し戻しました。再審は有罪の確定判決について,これを覆すための手続で極めてハードルが高い手続です。今後,さらに東京 高裁の差し戻し審で審理されることになります。以下,刑事訴訟法の再審の条文です。
【刑事訴訟法】
第四百三十五条 再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。
一 原判決の証拠となつた証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であつたことが証明されたとき。
二 原判決の証拠となつた証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽であつたことが証明されたとき。
三 有罪の言渡を受けた者を誣告した罪が確定判決により証明されたとき。但し、誣告により有罪の言渡を受けたときに限る。
四 原判決の証拠となつた裁判が確定裁判により変更されたとき。
五 特許権、実用新案権、意匠権又は商標権を害した罪により有罪の言渡をした事件について、その権利の無効の審決が確定したとき、又は無効の判決があつたとき。
六 有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。
七 原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となつた証拠書類の作成に関与した裁判官又は原判決の証拠となつた書面を作成し若しくは供述をした検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたとき。但し、原判決をする前に裁判官、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対して公訴の提起があつた場合には、原判決をした裁判所がその事実を知らなかつたときに限る。
89. 【今年最後→来年2月3日SDGsのウェビナー予定】20.12.28
さて,私が事務局を務めている日本CSR普及協会近畿支部が,★来年2月3日(水)午後3時~5時,Zoomのウェビナーにより,SDGsをテーマにしたセミナーを開催することを予定しています。
最近,様々な場面で脚光を浴びることが増えた「SDGs」について,そもそも「SDGs」って何なの?という方から,すでに「SDGs」を実践している会社の具体的取組みを知りたいという方,また,機関投資家は「SDGs」についてどんなことを考えているのか知りたい,という方まで,ご参加お願いします。
ちなみに,ご講演頂く予定のサラヤ株式会社さんは,大阪の非上場企業ですが,「ヤシの実石鹸」以来,手指消毒活動の普及に努められており,アフリカ大陸での普及活動が評価されてSDGsアワードの外務大臣賞を受賞されている会社です。(最近,お店の店頭にあるアルコール消毒器のほとんどがSARAYAとあるのを見たことおありと思います)今回の依頼をさせて頂くために会社に訪問させて頂きましたが,「本業を通じてSDGsに貢献する」という強い気持ちを感じました。
また,ニッセイアセットマネジメントの井口さんは,日経新聞などでもお馴染みの方で,ESG投資やSDGsについて世界を股にかけて活躍されています。今年はコロナのため海外出張がほとんどなくなったと言っておられましたが,最後に行った海外講演が2月のフランスパリで,OECDでSDGsをテーマにお話しされた,とのことでした。上場企業にとって,機関投資家がどのような視点からSDGsを見ているのか,その一端を知ることができる機会になれば,と思っています。
なお,★正式な案内状は,現在,関経連の後援の承認待ちということですので,来年になってから,改めてこのbccで配信させて頂きます。まずは,来年2月3日の予定を抑えておいていただければ幸いです。
では,改めまして,良いお年を!
【セミナーの概要】
日 時 令和3年2月3日(水)午後3時00分~午後5時00分
開催方法 ウェビナーによるオンライン開催
内 容 企業、機関投資家,士業のSDGsへの取組みについて、以下の方からご講演いただきます。
①一般社団法人SDGs推進士業協会代表理事・植松康太弁護士(大阪弁護士会)
②サラヤ株式会社取締役コミュニケーション本部本部長・代島裕世氏(第1回「ジャパンSDGsアワード」SDGs推進副本部長(外務大臣)表彰)
③ニッセイアセットマネジメント株式会社チーフ・コーポレートガバナンス・オフィサー統括部長井口譲二氏