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トピックス/コラム詳細

2021年05月06日
コラム

弁護士:久保井 聡明

久保井L⇔O通信21.3.26~3.31(中途退職者による営業秘密漏洩,コロナの人権侵犯事件公表,明日から1年間)

127. 【中途退職者による営業秘密漏洩増える】21.3.26
さて,今日の日経新聞に,「営業秘密の不正取得最多 昨年「海外企業に流出」「転職先に持ち込み」企業の管理体制、甘さ突く」との記事が掲載されています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70346040V20C21A3CR8000/

 

上記記事では,「情報処理推進機構(IPA)が実施した営業秘密の管理状況に関する20年調査では、回答した2175社のうち、情報漏洩があった企業で最も多かった原因が「退職者による持ち出し」で36.3%に上った。」と紹介されています。

記事にある情報処理機構(IPA)の20年調査は下記のURLです。
https://www.ipa.go.jp/security/fy2020/reports/ts_kanri/index.html

テレワークの増加,中途退職者や中途入社者の増加が今後も続くと思われ,企業の大小問わず重要な課題に感じます。

 

128. 【コロナの人権侵犯事件公表】21.3.29
さて、法務省は21.3.19、新型コロナウイルスに絡み、全国の法務局に昨年寄せられた人権侵害の相談のうち、救済手続きを開始した「人権侵犯事件」は175件だった、と発表しました。このうち,差別待遇事案が74件で42.3%を占めており,次いでプライバシー事案が41件,労働権関係事案が32件、とのこと です。

下記は法務省の人権侵犯事件報告書の概要のURLですが、具体的事例として次のような事例が挙げられています。感染症と差別の問題は古くて新しい問題です。

【法務省報告書概要から抜粋】
(差別待遇事案)
事例1 病院による患者に対する不適切な発言
定期的に通院していた病院から,配偶者が医療従事者であることを理由に,来院を控えるよう言われたとして,法務局に相談があった事案である。法務局が病院に聴取したところ,病院側は,コロナ禍の状況で来院するのが不安であれば,電話での申出により薬を送付することもできる旨を説明したものであり,来院を拒否したものではないことが判明した。病院側からは改めて被害者に説明したいとの意向が示され,その後,法務局が被害者に確認したところ,被害者は病院側の説明に理解を示し,今後は病院側と適切にコミュニケーションを取っていきたいとの意向が示された。(措置:「調整」)

(プライバシー関係事案)
事例2 中学校における生徒に対するプライバシーの侵害
被害生徒の母親が新型コロナウイルス感染症に感染した旨を学校に報告したところ,校長が学校の他の保護者宛てに,被害生徒が特定されるようなメールを送信したとして,父親から法務局に相談があった事案である。父親の意向を踏まえて,法務局から学校に対して,コロナに対する偏見をなくすための説明会の開催や被害生徒に対する見守り体制の構築及びアンケートの実施について提案したところ,学校側は,これらを了承し,今まで以上に被害生徒を注意深く見守っていくとの意向を示した。父親は,学校側の対応に理解を示し,学校側と被害生徒側 との関係が修復された。(措置:「調整」)

(インターネット事案)
事例3 インターネット上のプライバシー侵害
インターネット上の掲示板に,自身の氏名とともに新型コロナウイルス感染症に感染した旨の虚偽の書き込みがされているとして,被害者(病院関係者)から法 務局に相談があった事案である。法務局で調査した結果,当該書き込みのみでは被害者を特定することが困難であったが,掲載された掲示板中の他の書き込み等から被害者を特定することが可能であり,同人のプライバシーを侵害するもので あると認められた。法務局から,サイト管理者に対し,削除要請を行ったところ,当該書き込みは削除されるに至った。(措置:「要請」

 

129. 【明日から1年間】21.3.31
さて、すでに事務所報でお伝えしていますように,私は明日(21.4.1)から1年間,大阪弁護士会の副会長として執務することになりました。弁護士会館にいる時間が長くなり,bcc通信の発信頻度が落ちると思いますが,ご容赦下さい。また,弁護士会館の一般の方向けのイベントなどがあれば,この通信で告知させて頂きます。

なお,弁護士会館での執務中でも電子メールは通常とおり見ておりますので,何かご相談などありましたら,電子メールを頂ければ,と思います。

1年間,ご不便お掛けするかもしれませんが,よろしくお願いします。