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トピックス/コラム詳細

2021年11月16日
コラム

弁護士:久保井 聡明

久保井L⇔O通信21.9.3-9.27(マネロン日本不十分,SDGsと定款変更,ランサムウェア,久保井事務所オンラインセミナー,SDGsイベントYouTube,財産開示手続急増,皇室経済法)

170. 【マネロン対策FATF日本不十分】21.9.3
さて、報道によると、各国の資金洗浄=マネロン対策を検証している国際組織「金融活動作業部会(FATF)」は、8月30日、日本について金融機関の顧客管理や当局の取り締まりなどが不十分だとする審査結果を発表した、とのことです。多分野での改善を促す「重点フォローアップ国」に、日本を位置づけたため、今後、政府は罰則強化などの法改正を進める方針、とのことです。

最近、同じ銀行で複数の預金口座を作るのが難しくなったり、少し大きな金額を現金でおろしたりするのに手続が面倒だったり、みなさんも実感されていると思いますが、国際的な大きなマネロン対策の流れの一環です。
下記、FATFの結果、概要です。
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/convention/fatf/20210830.pdf

 

171. 【完全オンライン総会とSDGsに沿った定款変更】21.9.7
9月4日(土)のSDGsイベント、200名近い方にオンラインでご参加頂くことができ、大変盛況でした。ご協力ありがとうございます。
★見逃し配信をYouTubeで準備していますので、またできたらお知らせします。

さて、報道によると、バイオベンチャー企業のユーグレナ(東京、東証1部)は8月26日、完全オンラインでの株主総会を開いた、とのことです。国内の上場企業で初めてで、約550人余りが参加し、定款変更を承認した、ということでした。総会は動画で中継され、株主はパソコンやスマートフォンを通じて賛否を投じた、ということです。

これだけでもニュースですが、今日の日経新聞によると、上記の「定款変更」というのが、「事業領域を定める定款上の事業目的において「持続可能な社会の実現を目指す」ことを明記し、SDGsの17の目標を反映する形に刷新すること」、であったとありました。下記が同社のHPです。かなり思い切った定款変更ですね。
https://www.euglena.jp/news/20210805-2/

 

172. 【ランサムウェア被害警察庁報告】21.9.13
さて、日経新聞(21.9.10)に、データを暗号化し金銭を要求するランサムウェア(身代金要求型ウイルス)について、警察庁が9.9に公表した資料によると、企業や団体のランサムウェアの被害の報告件数は1~6月に61件、このうち66%にあたる40件が中小企業だった、ということです。

中小企業ではなかなか「専門人材を確保」と言っても現実的ではなく、狙われているようです。ただ、記事にもあったように、取引先に波及する「二次被害」による経営リスクも高まっていて、対策は急務です。まずは、最新のウイルス対策ソフトへの更新、従業員への研修・啓発活動、テレワークを実施する場合のルール作りなどから始めることが必要ですね。下記、警察庁のHPにアップされた公表資料です。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R03_kami_cyber_jousei.pdf

 

173. 久保井事務所オンラインセミナー→国税不服審判の実務21.9.15
さて、今日は久保井総合法律事務所のオンラインセミナーのご案内です。すでに書状でもご案内していますが、bcc通信でもご案内します。講師の中村弁護士は、当事務所から3年間、国税不服審判所に任期付き公務員として出向し、今年の7月に事務所に戻って来ました。当日は、上田純弁護士とのセッションで、国税不服申立手続をコンパクトにお伝えするとともに、あまり知られていない税務問題に対する弁護士の関わりをご紹介する予定です。奮って、ご参加下さい。(★終了しています)

【講師】    弁護士 中村和寛
【セッション】 弁護士 上田 純
【日時】 令和3年10月1日(金)午後4時~5時30分

 

174. 【大阪弁護士会SDGs×弁護士イベントYouTube見逃し配信】21.9.17
さて、9月4日(土)に大阪弁護士会が行いました「そうか、SDGsって憲法やったんや!弁護士会もこんなんやってます」のイベントについて、9月末までの期間限定で、YouTube見逃し配信を開始しました。もしご興味あられる方は、ご覧ください。

当日は約200名のオンライン参加があり、小学生から社会人まで幅広の方が参加してくださいました。少し時間は長いですが、「SDGsについてちょっと勉強してみようかな」という方、「社内で一度勉強してみようと思っていたんだ」という方にピッタリ、と思います。もちろん、社内で「拡散」して頂ければ嬉しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=yiyqzo43NYM

 

175. 【財産開示手続利用急増】21.9.21
さて、【bcc通信60】(下記参照)でお知らした、民事執行法改正による財産開示手続の罰則強化などの改正に関連して、21.9.19の日経新聞で記事が出ていました。それによると、「慰謝料などを支払わせるために債務者の財産情報を裁判所を通じて入手する「財産開示手続き」の利用が急増している。最高裁によると 2020年は3930件と前年の約7倍となり、10年以降で最多となった。手続きに応じない「逃げ得」に刑事罰が科されたことで実効性が高まり、制度の使い勝手が向上したとみられる。」とのことです。

 

176. 【皇室経済法】21.9.27
さて、「近く宮内庁が発表する秋篠宮家の長女、眞子さま(29)の結婚を巡り、皇室を離れられる際の最大約1億5千万円の一時金が支給されない方向になった。通常なら関連して執り行われる一連の儀式も見送りとなる見通しで皇族の結婚としては極めて異例の対応となる」(2021.9.26日経新聞)などと報道されています。

(2)この点、日本国憲法には次の定めがあります。
【日本国憲法】
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。
第八十八条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

(3)この憲法の規定を受けた皇室経済法では、次の各条項が定められています。
【皇室経済法の抜粋】
第三条 予算に計上する皇室の費用は、これを内廷費、宮廷費及び皇族費とする。
第六条 皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるために、年額により毎年支出するもの及び皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金額により支出するもの並びに皇族であつた者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとする。その年額又は一時金額は、別に法律で定める定額に基いて、これを算出する。
 (中略)
⑦ 皇族がその身分を離れる際に支出する一時金額による皇族費は、左の各号に掲げる額を超えない範囲内において、皇室経済会議の議を経て定める金額とする。
一 皇室典範第十一条、第十二条及び第十四条の規定により皇族の身分を離れる者については、独立の生計を営む皇族について算出する年額の十倍に相当する額

(4)皇室経済法第六条⑦には、皇族の身分を離れる場合について皇室典範が引用されています。
【皇室典範】
第十二条 皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。

(5)上記(3)で引用した皇室経済法第六条は、皇族であった者として品位保持の資に宛てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により「支出するものとする」と定めていて、結婚され皇族の身分を離れられる皇族女子の自由意思で「受け取らない」という選択が許されるのかどうか、法律の文言上、問題になりそうです。上記日経新聞の記事の続きで、「戦後に皇室経済法が制定されて以降、女性皇族が結婚に伴い皇籍を離脱する際に一時金を辞退した前例はなく、宮内庁は内閣法制局などと法的な問題点の有無について協議を繰り返してきた。その結果、現行法上の解釈で辞退を認めることは可能と判断したもようだ。」とあるのは、このあたりが問題となったものと思われます。