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2014年03月10日
一般民事関係

弁護士 : 佐藤 高志

最高裁判所の審理状況 ~事実上の二審制?~

 日本は「三審制」が採用されています。1審の判決に不服があれば上級審に控訴でき,控訴審の判決にも不服があれば上告することもできます。例えば,「1000万円貸したが返してもらえない。返して欲しい。」というような貸金返還請求訴訟(民事事件)であれば,第1審(地方裁判所),控訴審(高等裁判所),上告審(最高裁判所)と合計3回の司法判断を仰ぐことができる建前です。しかし,最高裁判所による最終チェックが制度上保証されているといっても,最高裁判所に判断してもらえるのはごく例外的な場合だけで,控訴審の判決でほぼ決まってしまうのが現状です(事実上の「二審制」に等しいというような批判もされているようです。)。
 民事事件判決に対する最高裁判所への不服申立方法は,①上告(民事訴訟法311条1項)と②上告受理申立(同法318条1項)の2通りがありますが,その要件は極めて厳しいものです。①の上告理由は同法312条に列挙されていますが,要するに控訴審の判断に憲法違反がある場合や,事件に利害関係のある裁判官が担当してしまった場合等の通常の事件ではまずあり得ないような例外的ケースに限って認められています。裁判所が平成25年7月に公表した第5回「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(以下「本報告書」といいます。)によれば,平成24年に終了した上告事件合計2263件のうち,上告理由があるとして破棄判決がされたのはわずか2件(0.09%)ということですから,これが如何に狭き門かがわかると思います。
 ②の上告受理申立は,同法318条1項に規定されているとおり,控訴審の判断に過去の判例違反や法令解釈に関する重要事項が含まれている場合に例外的に最高裁判所が上告を受理することができるという仕組みになっています。要するに,最高裁判所が「これは最高裁判所として統一的な法令解釈を示した方が良いな。」と考えた場合に限って例外的に認められるということです。平成24年に終了した上告受理申立事件合計2817件のうち,この狭き門を突破して受理されたのはわずかに51件(1.8%)です。その他は裁判所が取り上げるに値しないということで「不受理決定」等により終結しています。いわば門前払いです(ちなみに,上告受理申立事件の半数近くは,最高裁判所が事件記録を受け取ってから3か月以内に不受理決定により門前払いされます。)。
 狭き門を突破して受理されても,その全てで申立人の主張が認められるわけではありません。最高裁判所での審理の結果,上告受理申立理由が容れられて控訴審判決等が破棄されたのは,平成24年に終了した上告受理事件51件のうち36件です。ただし,受理された事件のうち約70%が控訴審判決等を破棄しているわけですから,受理さえされれば逆転の可能性は比較的高いといえます。
 このように,最高裁判所で逆転するというのは確率論でいえば極めて例外的ケースです。当然のことですが,第1審から訴訟活動に全力を尽くすことが極めて重要です。

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