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2011年12月11日
国際・渉外関係

弁護士 : 黒田 愛

米国訴訟の実務~久保井総合法律事務所リーガルセミナー講演録

1 黒田弁護士の経歴 
  私は、平成7年に弁護士登録をしてから、久保井総合法律事務所で7年間勤務していましたが、アメリカでは弁護士がどのような活動をしているのか、また、アメリカにおける訴訟実務がどのようになっているのかという点に関心を抱き、平成14年4月からアメリカに留学しました。アメリカでは、オクラホマ州にあるオクラホマシティ大学ロースクールに入学し、3年間の学生生活を経て、平成18年5月に同大学を卒業しました。その後、平成18年10月から、ニューヨーク州にある大橋&ホーン法律事務所で勤務を始め、同年11月にニューヨーク州司法試験に合格し、平成19年1月に、同州の弁護士登録をしました。
  それでは、これから、私が、アメリカで体験したことも踏まえて「米国訴訟の実務」というテーマで話をさせて頂きます。

2 はじめに
(1)アメリカの弁護士数、事件数について
現在,アメリカの人口は約3億1000万人と日本の人口約1億3000万人の約2倍強となっています。弁護士人口についてみると、日本の弁護士人口が2008年時点で約2万5000人である一方で、アメリカには約116万人の弁護士がいます。このようにアメリカの弁護士人口は日本に比べて非常に多いことが分かります。
また、2007年の日本の民事・行政事件数(調停事件を除く)が約73万件である一方で、アメリカでは約1700万件(連邦裁判所が約26万件、州裁判所が約1670万件)ありました。
このように、弁護士数や事件数からすれば、アメリカは訴訟社会ということができると思います。

(2)私が印象に残ったアメリカの事件について
 ア マクドナルド事件
アメリカの特徴的な事件で、私の印象に残っている事件の1つにマクドナルド事件があります。この事件は、1980年代に起こった事件です。事件の内容は、当時79歳のおばあさんがマクドナルドでホットコーヒーを購入したが、そのコーヒーをこぼして大火傷を負ったことから、コーヒーを販売したマクドナルドに対して損害賠償を求めたという内容です。では、この事件で、いったい幾らの損害賠償金が認められたでしょうか。何と、陪審員は、おばあさんに対して、日本円にして約3億円(1ドルを100円で計算した場合。以下同じ。)もの損害を認めたのです。たった49セントのコーヒーが何と3億円の損害賠償に変わった事件としてマスメディアでも広く取り上げられました。

 イ アイザイア・トーマス事件
他にも、私が印象に残っている事件があります。その1つに、全米プロバスケットボールのニューヨークニックスのアイザイア・トーマスと球団らが、元幹部職員の女性からセクハラで訴えられた事件があります。この女性は、黒人女性で、在職中に侮辱的な発言を浴びせられたり、セクハラを受けたりするなど女性ゆえに差別的扱いを受けたことから、それらの被害を球団に対して訴えられたところ球団から解雇されたと主張して損害賠償等を求めて起こした事件です。その一方で、トーマスらは、セクハラの事実自体を否定していました。では、この裁判で、ニューヨークの陪審員が下した損害は幾らだったでしょうか。その損害額は、何と日本円にして11億6000万円という多額の金額でした。

 ウ ハンツマン社事件
もう1つ印象的な事件があります。2007年7月に、化学メーカーのハンツマン社を約6500億円で買収する契約をしていたアポロマネジメントという投資組合が買収話を反故にしたことから、2008年6月にハンツマン社がアポロマネジメントを訴えた事件がありました。この事件は、最終的には、アポロマネジメントがハンツマン社に1000億円を支払うということで和解が成立しました。この事件は大々的に新聞に取上げられました。その理由は、ハンツマン社が支払った弁護士費用が43億円と高額だったという理由ではなく、会社の代表者がコンサルティング料として会社から15億円もらっていたことが分かったからでした。つまり、弁護士報酬が一つの事件で43億円もの大金だったということは大したネタにはならないということで、アメリカにおける弁護士報酬の高額化が当たり前になっているということを実感したという点で印象に残っています。

3 どこの裁判所に訴えるのか
(1)連邦裁判所と州裁判所
   アメリカの裁判所には、連邦裁判所と州の裁判所があります。イメージを掴んでもらうためには、極端に言えば、日本のなかに、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所がある一方で、大阪にも大阪最高裁判所、大阪高等裁判所、大阪地方裁判所があるようなものです。
  次に、連邦裁判所と州の裁判所どちらに管轄があるかということが問題になります。連邦裁判所が審理できる事件は、①連邦法に基づく請求である事件、例えば、特許事件、Civil Rights事件、反トラスト法の事件、連邦税法の事件等と、②原告・被告が異なる州の住民であり、請求額が7万5000ドルを超える事件となっています。原告・被告が異なる州の住民の場合に連邦裁判所に管轄があるのは、アメリカが陪審員制度を採用していることに起因しています。つまり、陪審員たちは、地元びいきになりがちなので、それを防止するために、先に言った7万5000ドル以上の請求額の場合には、連邦裁判所が審理できるとしているのです。なお、不法行為に基づく損害賠償請求や契約に基づいた請求は、多くの場合、州の裁判所に管轄があります。
   また、連邦裁判所の第1審裁判所は各州に散らばっており、当該州に最低限度の関わり合い(ミニマムコンタクト)さえあれば、その州で訴えることができます。日本の会社であっても、ミニマムコンタクトさえあれば,アメリカで裁判に巻き込まれる可能性は十分にあるので注意が必要です。例えば、日本のある会社が売った製品が偶々テキサス州の住民の手に渡り、テキサス州で事故が起きたという場合ならミニマムコンタクトは無いかもしれませんが、テキサス州で、自社の商品の宣伝を行っていた場合には、自らその州と関係を持つ行為をしたということで、ミニマムコンタクトがあるとしてテキサス州で被告になる可能性があります。

(2)裁判所の種類
   アメリカの裁判所の特徴として、様々な種類の裁判所があります。日本では、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所などですが、アメリカでは極めて細かく分かれています。例えば、ニューヨーク州では、Town Courts、Village Courtsという裁判所が約1300個も存在しています。これらの裁判所は、毎日開廷されているわけではなく、毎週、特定の曜日にだけ開かれていたり、取扱う事件も3000ドル以下の少額の事件に限っていたりします。これらの裁判所では、1年間で約200万件もの事件が処理されています。もっとも、各州によって、Town Courts、Village Courtsの名称や数も違えば、裁判所の体系も違っています。

4 訴状・答弁書
(1)アメリカの訴状では、当該事件の物語、つまり事実関係を詳細に書く一方で、法的な主張については簡潔に書かれるということが特長として挙げられます。そして、この事実関係を書くなかで、事件の印象付けを如何に行うかということを重視していると思います。例えば、上述した全米プロバスケットボールのニューヨークニックスのアイザイア・トーマスの件でも、訴状の冒頭に、今回の被害者の女性について、「○○(被害者)は、プロフェッショナルスポーツの業界では、実績を認められた非常に優秀な女性であった。」という指摘から始まっています。
   また、原告は、「求める判決」(Prayer for Relief) において、原告の請求額は記載しません。申立費用についても200ドル~300ドルの定額の手数料がかかるだけで,訴額に応じた印紙代は不要です。さらに、アメリカでも、法律に特定の定めがない限り弁護士費用は勝敗に関係なく自己負担が原則です。

(2)答弁書の提出期限は、原則として訴状の送達を受けてから20日後となっています。この提出期限内に答弁書を提出しないと認容判決(デフォルト・ジャッジメント)が下されることになります。しかし、被告が、答弁書の提出期限の延長申請を行うことは可能で、相手方(原告)の同意があれば延長が認められます。

5 審理計画・証拠開示(Discovery)
(1)審理計画
   アメリカでは、日本の裁判と異なり右表のとおり審理計画が非常に細かく決められています。もっとも、審理計画を1度決めたからといって、その審理計画に絶対的に拘束されるわけではなく、必要に応じて柔軟に審理計画の組み直しは行われます。

(2)証拠開示(Discovery) 
   アメリカの訴訟の特徴としてディスカバリー制度が挙げられます。ディスカバリーの主な方法には、①文書提出要求、②質問事項に対する回答要求、③証言録取の3つがあります。この制度により、訴訟当事者は、相手方に対し、裁判所を通すことなく、文書提出要求や質問事項に対する回答要求を行い、相手方の有する内部情報も含めて、訴訟に関連した証拠の全面的な開示を相手方に求めることができます。さらに、この制度は、裁判所の提出命令を得て、第三者が持っている物に対しても、証拠の開示を要求することができます。そして、仮に、文書提出要求等をされた相手方が、提出要求のあった証拠を隠すなどして提出しなかった場合には制裁の対象になります。制裁には、金銭の支払い、相手方が主張する事実の自動的認定、陪審員への告知、請求棄却、弁護士に対する懲戒等があります。例えば、PL訴訟において、このディスカバリー制度を利用すれば、文書提出要求として、(ⅰ)当該製品の設計図、デザイン、施工図その他設計に関する全ての書類、(ⅱ)当該製品のパンフレット、(ⅲ)当該製品の取扱説明書、マニュアル、(ⅳ)当該製品に関連した過去の自己に関する一切の書類、(ⅴ)本件事故現場を撮影した全ての写真などの文書等の提出を求めることができます。また、質問事項に対する回答要求として、(Ⅰ)当該製品の設計について、(Ⅱ)当該製品の部品全ての供給先企業等の名称、住所、電話番号等、(Ⅲ)当該製品に付された保険の詳細について、などの質問に対する回答を求めることができます。
   デポジション(証言録取)は、法廷外で証人予定者等を尋問する手続で、その記録は、後のトライアル(法廷での審理手続)で証拠として提出されることがあります。行われる場所は、弁護士事務所やホテルの会議室です。

6 和解について
  アメリカでは、トライアルまでいく事案はそれ程多くなく、州の裁判所に提起された訴訟のうち、トライアルにまでいくケースは約3%に過ぎず、大半の事件が和解で解決しています。
  和解率が高い理由には様々な要因がありますが、日本と違ったアメリカの和解手続きの違いによることが1つの要因だと思われます。具体的に、日本の裁判所における和解との違いは、①和解手続きには、訴訟における担当裁判官は関与しないので、当事者としては本音を言い易いことが挙げられます。また、②調停員は通常1人で、原告側・被告側が別々の部屋に陣取り、調停委員が当事者双方のもとを行ったり来たりする。さらに、③和解手続きは、長時間かけて1日や2日で終了させることが予定されており、日本のように、短時間の和解期日を何か月にもわたり何度か繰り返すようなことはしないという点が挙げられます。
  先ほどお話したマクドナルド事件でも、和解するチャンスは何度かありました。訴訟提起前には、被害者が火傷などにより被った治療費110万円を含む約200万円で和解案が提示されていたのです。しかし、会社側がその和解案を蹴ったことにより、訴訟提起され,その後も和解のチャンスは何度かあったものの和解が決裂しトライアルに突入しました。そして,最終的には,マクドナルドに対して実損3000万円と懲罰的損害賠償として2億7000万円の合計約3億円を賠償する旨の評決が下されたのです。なお,この懲罰的損害賠償の算定根拠は、当時のマクドナルドのコーヒーの1日の売り上げが、約1億3500万円だったことからその2日分として導かれたものと考えられます。

7 各種申立
  判決以外に裁判所の決定を求める各種申立制度が設けられています。この申立の中で最も重要なのは、ディスカバリーが終了した後、トライアルの前に申し立てられる、サマリージャッジメントの申立です。
  これは、「これまでの証拠開示手続きで明らかになった事実に照らせば、原告(被告)の言い分に理由があることが明々白々であるので、トライアルの前に、自分を勝たせる判決を出して下さい。」との申立です。この申立に際しては、日本の裁判所における最終準備書面のような、証拠を引用しつつ事実を法律に当てはめるという緻密な書面を提出します。
  私は、アメリカにおける訴訟で提出される書面は、各弁護士の個性に合わせた形で自由に書かれていると思っていたのですが、むしろその逆で、訴状も含めて各種書面は非常にフォーマリティ(形式)を重視するものとなっています。それは、何故かというと、アメリカは、全ての人のバックグラウンドが違うといっても言い過ぎではないほど、多民族国家であり、また人種の坩堝国家なので、むしろフォーマリティで制限しておかないと好き勝手に主張することになりかねず、フォーマリティを非常に重視するようになっているのではないかと考えています。

8 トライアル・評決
(1)トライアル
   2005年の統計によると、州の裁判所では、トライアルまで進んだ事件のうち約70%で陪審員によるトライアルが行われ,残る30%は裁判官によるトライアルが行われています。陪審員によるトライアルの手続きは、次のとおりとなっています。まず、陪審員の選択があり、その後に、冒頭陳述、証人尋問(主尋問、反対尋問)、最終弁論と進み、最終弁論後に、陪審員に対する教示が裁判官から行われ、その後に、陪審員による評議、評決という順で行われます。アメリカでは、刑事事件だけでなく民事事件についても陪審制度が採用されている点が特徴的です。
弁護士としては、誰を陪審員に選ぶかという点が1つ重要になります。もっとも、陪審員を無制限に選べるわけではなく、12人を選ぶことになります。
 私が、アメリカで実際に傍聴した事件のなかに、病院で盲腸の手術を受けたのですが、その手術が失敗だったとして、患者が医者に対して損害賠償請求訴訟を提起した事件がありました。本件では、まず、弁護士としては、陪審員を選ぶにあたっていくつかの質問を陪審員にすることになりますが、その質問の中に、例えば、あなたの身内や知人に医者はいますか、あなたは,かつて医者を訴えたことがありますかなどといった質問をして陪審員を選んでいきました。
 1週間に及ぶトライアルで、月曜日に陪審員の選択と冒頭陳述(OpeningStatement)が行われ、証人尋問は火曜日から金曜日の午前中まで行われました。その中では、被告のお医者さん本人、原告本人や原告の家族、原被告それぞれの専門家証人(Expert Witness)が証言をしました。原告が呼んできた専門家証人は、法廷での証言を半ば仕事にしているプロの証人らしく、被告の弁護士から、本件で支払われる報酬の額や、全米各地の裁判所で過去に行った証言内容を指摘され、文字通り脂汗を流していました。
   全ての証人尋問が終わった後、当事者双方の弁護士による最終弁論が行われ陪審員は評議に入りました。陪審員が評議している間、私が評議結果を待っていると、法廷で使われるプロジェクターを操作していた人が来て、「金曜日の評議は、原告に不利な結果が出ることが多いのよね」と教えてくれました。その理由は、陪審員は、評議が終わらないと帰れないので、仮に、原告を勝たせるとなると損害賠償の額まで決めなければならなくなりますが、その一方で、原告を負かせば損害額まで決める必要がないから、ということにあるらしいのです。この話の真偽は不明です。しかし,私が見たこの裁判でも、原告が敗訴しました。もっとも、この事件で、原告敗訴になった理由は、金曜日の評議だったからではなく、本件の原告が被告代理人からの「あなたは、今でも、被告はよい医者だと思っていますか?」という反対尋問に対して、原告は、「はい。被告を医者として尊敬しています。」と答えたことも原告敗訴の1つの理由だったのではないかと考えています。

(2)評決
   2005年の統計によれば、州裁判所で、トライアルになった場合の原告の勝訴率は、約60%となっています。なお、勝訴率に関して、陪審員によるトライアルでは54%、裁判官によるトライアルでは68%となっています。
   そして、原告勝訴事件における勝訴額の平均は、約2万8000ドル(約300万円)です。アメリカでは、一部の事件で多額の賠償責任を認める判決が下されるため、賠償額が非常に高いのではないかというように思う方が多いのですが、実際には、多額の賠償責任が認められているのは極めて特殊な一部の事件だけで、ほとんどの事件は、それほど大きい賠償額が認められているわけではありません。
   アメリカでは、何故、多額の損害賠償責任が認められるのかというと、懲罰的賠償制度という制度が採用されているためです。先ほどのマクドナルド事件でも、実損3000万円に対して、懲罰的損害賠償額が2億7000万円となっています。そこで、懲罰的損害賠償の弊害が指摘されており、懲罰的損害賠償に上限を法定する動きがみられています。例えば、テキサス州では、医療過誤による死亡事故では、医療費や逸失利益以外の損害賠償は165万ドル(約1億6500万円。懲罰的損害賠償を含む。)に制限されています。

9 個別の訴訟類型について
(1)雇用差別訴訟
   アメリカでは、日本と異なって解雇は原則自由に行えます。但し、差別に基づく解雇や、差別クレームに対する報復としての解雇は違法になります。
従って、解雇が「差別」を理由とする場合には違法となります。例えば、連邦法では、人種、宗教、性別、国籍、年齢、障害の有無に基づく差別、これらの差別クレームに対する仕返しは禁止されています。また、州レベルでは、これらの事由に加え、家族構成、軍経験者かどうか、同性愛者かどうかを理由とした差別も禁止されています。因みに、アメリカでは、年齢による差別は禁止されているので、定年制は違法です。
   差別解雇事件における勝負の決め手は、経営陣や幹部社員のEメールの内容で   あることが多いので、Eメールの証拠保全が重要になります。そこで、雇主は、解雇した従業員が、証拠集めのために会社のコンピューターにアクセスするのを避ける目的で、即日解雇とすることもあります。また、アメリカでは、訴えが予想できた時点で、関連する証拠・書類を廃棄してはならないという義務(Litigation Hold)が生じます。これは判例法に基づく義務です。この義務を無視して、会社の文書保管ルールに従って漫然と書類を廃棄し続けると、後に裁判が起きてきた際、裁判所から制裁を受けるおそれがあります。

(2)クラスアクション訴訟
   アメリカにおける特徴的な訴訟として、クラスアクションが挙げられます。
   クラスアクションというのは、あるクラスの代表者が名乗り出て、代表者が、自身及び当該クラスの他のメンバーのために訴えを提起し、原告として訴訟を行い、その結果言渡された判決や和解の効力は、当該クラスのメンバー全員に及ぶという訴訟類型をいいます。クラスアクション訴訟では、クラスの認定が重要になります。例えば、クラスの認定としては、「アメリカ国内で、1997年8月1日から2006年7月31日までの間、BarBriの司法試験受験講座を購入した者」というような形でクラス認定が裁判所により行われます。私も、2006年の5月~7月にかけてこの司法試験受験講座を受講していたのでクラスメンバーに含まれていました。当該訴訟を提起したクラスの代表者は、認定されたクラスメンバーに当該クラスアクション訴訟について通知しないといけませんが、クラスアクションの通知に対しては、各クラスメンバーは、原則として、オプトアウト(訴訟には参加しない旨の返信)しなければ原告に含まれることになります。結局、私も、オプトアウトしなかったので、クラス原告に含まれました。
   クラスアクション訴訟では、クラスの認定が得られるかどうか、得られるとしてどの範囲で得られるかというのは賠償額にも影響してくるので非常に重要になってきます。
   なお,クラスアクション訴訟において、和解を成立させるためには裁判所の承認が必要になります。しかし、クラスアクション訴訟で、企業側に巨額の賠償が命じられることが多く、ブッシュ大統領もクラスアクションを批判しておりました。特に批判されたのは、クーポン和解と揶揄された和解方式で、そこでは、大多数の無関心のクラス原告にはクーポン(例:次回に製品を購入するときに使える50%割引券)しか渡さず、原告の弁護士が何十億円もの巨額の弁護士報酬を得ていました。そこで、クラスアクションの改正法では、和解の内容が適正なものであることが和解成立の条件とされ(当事者同士が合意しただけでは足りない)、また、クラス原告に賠償額をクーポンで支払う場合には、弁護士報酬も実際に使用されたクーポンの価値を基準として支払わなければならないこと等が盛り込まれました。

10 まとめ
   時間があれば、各訴訟類型について、もう少し詳しく話したかったのですが、時間もありませんので、私の話はこの程度にさせて頂きます。
   最後に、アメリカの裁判は、確かに、マクドナルド事件等のように多額の損害賠償が認められる事件があるので、アメリカで訴訟に巻き込まれたら高額な損害賠償責任を負わされるのではないかと考えがちになります。しかし、実際には,良識的な裁判が多いという印象を持っています。また、会社の皆様にとっては、先ほどの連邦裁判所の管轄の問題のように、ある州で,自社の商品の宣伝を行っていた場合には,自らその州と関係を持つ行為を行ったということで,その州に管轄が認められる可能性がありますので、どんなリスクがあるかを常に意識して対策を講じておくことが大切になると思います。

(平成21年4月22日(水)  於:大阪中之島ビル)
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