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2022年04月01日
会社法関係     M&A・企業再編     独占禁止法関係
消費者関係     一般民事関係     その他

弁護士 : 久保井 聡明

久保井L⇔O通信22.2.7-2.28(新規上場と優越的地位濫用,サブスクの契約書面の指針公表,法人登記情報の代表者住所,コロナによる結婚式キャンセル料)

194. 【新規上場と優越的地位の濫用】22.2.7
さて,2022.1.29の日経新聞で,1月28日に,公正取引委員会が,新規株式公開(IPO)時の公開価格の値付けに関する報告書をまとめ,上場業務を中心的 に担う主幹事証券会社が一方的に過小な値付けをする商慣習に対して独禁法違反の恐れがあると指摘し,見直しを促し,スタートアップ企業の資金調達をめぐる環境の適正化をめざす,との記事がありました。

(2)下記,公正取引委員会のHPです。HPによると,今回の実態調査や報告書公表のきっかけは,令和3年6月18日に閣議決定された「成長戦略実行計画」で, 日本のIPOについて,上場後初めて市場で成立する株価(初値)が,上場時に新規上場会社が株式を売り出す価格(公開価格)を大幅に上回っており,公開価格 で株式を取得した特定の投資家が差益を得るが,新規上場会社には直接の利益が及ばず,同じ発行株数でより多額の資金調達をし得たはずであったことが指摘されたことによる,ようです。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jan/220128_IPO.html


(3)他方で,上記(1)の日経新聞では,「ある証券会社によれば,新規上場した企業の約3~4割は公開の1年後の株価が公開価格を下回っていたという。証券会社幹部は慣行に見直すべき点があるとしつつ「公開価格のあり方は全体の一部を切り取った議論ではないか」と話す。」とも紹介されています。このあたり,適切な実務のあり方の模索が続きそうです。


 


195. 【サブスクの契約画面の指針公表】22.2.14
さて,2022.2.10の日経新聞に,「動画配信などのサブスクリプション(定額課金)サービス事業者に対し,消費者庁は9日,契約画面に記載すべき項目などの指針を公表した。契約内容などを明示して消費者トラブルを防ぐ狙いだが,解約困難といった課題はなお残る。専門家は「海外のようにオンラインでの解約義務付けなども検討すべきだ」と指摘する。」との記事が掲載されていました。

(2)この記事を見て私も思い立って,もともとガラケー時代から契約をしていながら,最近は全く見なくなっているウェザーニュースとか,メジャーリーグニュースの有料配信を解約しようとしましたが,本当に解約方法が分かりにくい。。。右往左往してやっと解約できましたが,解約するまでに何度も関所がある感じです。

(3)下記,消費者庁の該当ページです。★みなさんのなかにも,サブスクを利用した事業をしておられる方,これからしようとしておられる方もいらっしゃると思いますが,要注意です。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2021/notice02/index.html



【消費者庁のホームページから】最終確認画面の表示必要事項
改正特定商取引法施行に伴い令和4年6月1日から各社カートシステムにおける 『最終確認画面』において,顧客が『注文確定』の直前段階で下記の各契約事項を簡単に最終確認できるよう表示する必要があります。事業者側が下記事項について,消費者に誤認を与える表示を行った場合,誤認して申込みをした消費者は,取消権を行使できる場合があります。

①分量
商品の数量,役務の提供回数等のほか,定期購入契約の場合は各回の分量も表示
②販売価格・対価
 複数商品を購入する顧客に対しては支払総額も表示し,定期購入契約の場合は2回目以降の代金も表示
③支払の時期・方法
 定期購入契約の場合は各回の請求時期も表示
④引渡・提供時期
 定期購入契約の場合は次回分の発送時期等についても表示(顧客との解約手続の関係上)
⑤申込みの撤回,解除に関すること
 返品や解約の連絡方法・連絡先,返品や解約の条件等について,顧客が見つけやすい位置に表示
⑥申込期間(期限のある場合)
 季節商品のほか,販売期間を決めて期間限定販売を行う場合は,その申込み期限を明示

 



196. 【法人登記情報の代表者住所】22.2.22
さて,2022.2.16の日経新聞に,法務省が,2月15日に,法人登記情報をネット上で閲覧できる有料サービスについて,9月1日から,企業の社長ら代表者の住所の開示をやめると発表した,との記事が掲載されていました。9月からはネットでは代表者の住所を示さず,閲覧するには各地の法務局などに赴く必要がある,ということになります。また,ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者らの住所も,申出があった場合に全面的に非開示にできる,ということです。

【法務省HPの2月15日に法務大臣記者会見概要からの該当箇所抜粋】
…商業登記規則等の一部を改正する省令案についてです。明日16日から,商業登記規則等の一部を改正する省令案について,パブリックコメントを開始します。会社の基本的な情報については,商業登記によって誰でも確認できる必要があります。しかし,その中に会社代表者等の住所が含まれていることについては,個人情報保護等の観点から問題があるのではないかとの指摘がされていました。この省令案は,平成31年の法制審の会社法制部会における附帯決議に基づいて,その解決を図るものです。まず,書面で発行される登記事項証明書においては,DV等の犯罪被害を受けるおそれがあるとの会社代表者等からの申出が あった場合に,その住所を表示しない措置を講じます。また,インターネット上で閲覧可能な登記情報提供サービスにおいては,会社代表者等の住所を一律に表示しないこととしています。この省令案は,本年9月の施行を予定しています。幅広く御意見をお寄せいただいた上で,商業登記制度が,国民の社会経済生活の基盤としての役割をより適切に果たせるよう,努めてまいりたいと考えています。

(2)弁護士業務においては,例えば,内容証明郵便を会社宛に送ったけども不在で着かないという場合,代表者の自宅住所に送る,その際に登記情報を見る必要があります。訴訟を会社相手に起こしたが着かないという場合にも同様です。あと,典型的には,会社に対して代表者に連帯保証をしてもらってお金を貸していた,その後,会社が返済をしなくなった,代表者に対して連帯保証債務の履行請求を求めたい,ただ裁判を起こして判決を取ったとしても,代表者に果たして個人資産があるのか事前に調べたい,というような時,代表者の自宅住所を登記情報から見て,その住所の不動産全部事項証明書をあげる,というようなことをやっています。このような必要性はありつつ,でも個人情報保護が重視される時代になって,ということでの変更,ということです。あと,DV被害の防止の場合には,ネットだけではなく法務局に行っても見ることができない,ということになるようです。

下記の件,現在,パブコメ中とのことです(弊所の上田弁護士からの情報で す)。DⅤ被害者の場合にどのように表記されることになるのか,その例も出ているようです。追加情報提供です。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080259&Mode=0

 




197. 【コロナによる結婚式キャンセル料】22.2.28
さて,2022.2.26の日経新聞に,名古屋市内のホテルが,新型コロナウイルス感染拡大を理由に披露宴をキャンセルした夫婦にキャンセル料の支払いを求めた訴訟で,名古屋地裁が26日までに,「解約はやむを得ず,夫婦に責任はない」として請求を棄却した,との記事が掲載されていました。この事案では,2020年4月に緊急事態宣言が発令された直後に,同年6月予定の披露宴をキャンセルしたのに対して,ホテル側は開催できた,と主張し,約150万円の支払いを求めていた,ということのようです。判決では,キャンセル料を定めた条項があるものの,天災などやむを得ない場合にホテル側は損害賠償なしに契約を解除できることになっている,ということで,キャンセル料条項の適用対象にならない,との判断をした,と報道されています。

(2)なかなか,このあたり,難しい問題です。披露宴が予定されていたという2020年6月は,結果的には1回目の緊急事態宣言は解除されていた時期になりますが,4月の段階でどこまで見通せていたか,というと全く見通せていなかった,と言わざるを得ないと思います。判決文を見ていませんが,このあたりが考慮されたのかもしれません。

(3)別の,新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年3月下旬に予定されていた結婚式を3日前に中止した男性が,式場に400万円余りのキャンセル料の返還を求めた裁判では,東京地裁が,「挙式が不可能だったとまではいえない」としてキャンセル料を払う必要があると判断し,訴えを退ける判決を2021年9月に出しているようです(控訴中のようです)。結婚式が予定されていた2020年3月下旬と言えば,まだ緊急事態宣言が発令されてはいませんでしたが,かなり社会は感染予防対策を強めていた時期ではありました。

(4)結局は,結婚式などが予定されていた時期,その時点でのコロナの影響,契約条項の定め方,解約申入れの時期(式直前かどうか)などによって個別に判断される,ということと思います。ある程度,ホテルと利用者がお互い譲り合って解決しているケースもあると思いますが,国民生活センターへの相談事例も相当数にのぼっている,ということのようです。

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