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2021年02月19日
金融関係     会社法関係     労働関係
相続関係     消費者関係

弁護士 : 久保井 聡明

久保井L⇔O通信21.1.25-1.29(100回までの通信内容,自筆証書遺言の日付についての最高裁判決,社債に原則利息制限法適用無しとの最高裁判決,給与をデジタル払い?)

100. 【100回までの通信内容分析】21.1.25
さて、昨年(2020年)7月20日に第1回配信をさせて頂いて以来、本日 (2021年1月25日)の配信で100回目となりました。新型コロナの感染拡大もあっ て一気に社会全体がIT化に舵を切り、配信内容に事欠かなかったことから、当 初想定していたよりも早く100回に到達したように思います。

(2)100回の配信内容を分析してみると、①新型コロナに何らかの形で関連した 配信22回(緊急事態宣言、コロナをきっかけにIT化や法改正が検討されている など)、②コロナと直接関連しない新しい法律制度等を紹介した配信17回、③最高 裁判所の判決などの裁判例のご紹介23回、④その他の法律関連情報全般31回、⑤事 務所のWebセミナーなどのご案内7回、という状況でした。③の最高裁判決の紹 介のなかでは、同一労働同一賃金に関連するものが11回と多かったのは、日々の 法律相談でも依頼者の皆さんの関心が高かったことによります。

(3)この間、依頼者の皆さんから、「見てますよ」とか、「この前のあの配信 は参考になりました」とか、中には、「配信内容を毎日ファイルにして読んでい ます」と言ってファイルを見せて下さった方もおられ、励みになりました。今後 も何かご感想などあれば、お寄せ下さい。よろしくお願いします。

101. 【自筆証書遺言の日付についての最高裁判決】21.1.26
さて,本日は当事務所の瀧本弁護士からの情報提供です。

(1)民法968条1項では,「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、 その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」とあり ます。実際に自筆証書遺言が作成された日と異なる日付が記載されていた場合, その遺言の効力はどうなるか,が争われた最高裁の判決が出されました。

(2)*令和3年1月18日 最高裁第一小法廷判決
【事件名】
遺言無効確認請求本訴,死因贈与契約存在確認等請求反訴事件
【概要】
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89956
【判決文】//
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/956/089956_hanrei.pdf

【判示事項】
自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているから といって同証書による遺言が無効となるものではないとされた事例

【コメント】
亡Aが作成した遺言(内縁の妻とその子供に財産を遺贈ないし相続させる内容) の効力を,本妻とその子供が争った事案です。

最高裁判所は,自筆証書によって遺言をするには,真実遺言が成立した日の日付 を記載しなければならないと解されるところ(最高裁昭和51年(オ)第978 号同52年4月19日第三小法廷判決・裁判集民事120号531頁参照),自 筆証書遺言が成立した日付は,全文と署名押印が揃った日を指すが,民法968 条1項が,自筆証書遺言の方式として日付等を要するとした趣旨は,遺言者の真 意を確保すること等にあるところ,必要以上に方式を厳格に解すると,かえって 遺言者の真意の実現を阻害するおそれがある,したがって,Aが,入院中の平成 27年4月13日に本件遺言の全文,同日の日付及び氏名を自書し,退院して9 日後の同年5月10日に押印したなどの本件の事実関係の下では,本件遺言書に 真実遺言が成立した日(5月10日)と相違する日(4月13日)の日付が記載 されているからといって直ちに本件遺言が無効となるものではないと判断しました。
→あくまでも,今回は,入院中の平成27年4月13日に本件遺言の全文,同日 の日付及び氏名を自書し,退院して9日後の同年5月10日に押印したなどの本 件の事実関係の下での判断であり,自筆証書によって遺言をするには,真実遺言 が成立した日の日付を記載しなければならないという原則自体を変更したもので はありません。ただ1つの事例判決として重要と思います。

102. 【社債には原則,利息制限法適用無しとの最高裁判決】21.1.28
さて,2021.1.26,最高裁第三小法廷は,「社債の発行の目的,募集事項の内容,その決定の経緯等に照らし,当該社債の発行が利息制限法の規制を潜脱することを企図して行われたものと認められるなどの特段の事情がある場合を除き,社債には同法1条の規定は適用されない」との判決を言い渡しました。

あまり考えたことがなかった問題ですが,判決文を読むと,会社法上の社債の発行手続,金商法,もともとの利息制限法の目的などを踏まえて判断しており,勉強になりました。下記,裁判所のHPですので,興味がある方はご一読下さい。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89968

103. 【給与をデジタル払い?】21.1.29
さて,政府は今春から企業が給与を銀行口座を介さずに支払えるようにする検討を始めた,と報道されています。具体的には,従業員のスマートフォンの決済アプリなどに振り込む方式を認めるかどうか,ということのようです。仮にこれが実現すれば,利用者は銀行からお金を引き出す手間がなくなる一方,これまで給与振込口座を起点に預金を集める従来の銀行のビジネスモデルに影響をもたらすことは必至と思われます。「LINEペイ」「楽天ペイ」などのスマホ決済業者は商機が広がることになりそうです。
 ただ,預金保険法で1000万までは保証されている預金口座と同様の安全性をどこまで確保できるか,課題はありそうです。
 以下,関係する労働基準法の条文です。

【労働基準法】
(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

【労働基準法施行規則】
第七条の二 使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。
一 当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み

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