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2020年10月15日
不動産関係     労働関係     知的財産権関係
独占禁止法関係     刑事関係

弁護士 : 久保井 聡明

久保井L⇔O通信9.9-9.18(32.34.37.同一労働同一賃金最高裁判決へ,33.供託制度,35.下請決済60日へ統一,36.サブリース,38.必要的弁護事件,39. タトゥー無罪判決)

32. 【同一労働同一賃金最高裁弁論期日】20.9.9
7月29日に【通信6】でご紹介した、非正規雇用の同一労働同一賃金の最高裁の弁論が9月中に行われる、との記事が今朝の日経新聞に掲載されていました。日本郵政の3件の訴訟が、9月10日と24日に、東京メトロと大阪医大の事件は9月15日に弁論が行われる、とのことです。引続き、この通信でもフォローしていきたいと思います。

33. 【供託制度】20.9.10
がん免疫治療薬「オプジーボ」の基礎となる研究について,ノーベル賞受賞者の本庶先生が,小野薬品に対して特許の使用対価約226億円の支払をもとめて訴訟をしておられます。小野薬品は,22億円が対価として相当として本庶先生に払おうとしたものの,本庶先生は安すぎるとして受け取りを拒否,これを受けて小野薬品は法務局に22億円を供託した,ということのようです。今日(20.9.10)の朝日新聞朝刊には,大阪国税局が,22億円が供託されているのに収入申告をしていないのは申告漏れであるとし指摘をし,本庶先生はこれにしたがって修正申告した,との報道がされています。実務では,供託制度はよく使われますが,下記が,その根拠条文です。

【民法】
(供託)
第四百九十四条 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
二 債権者が弁済を受領することができないとき。
2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。

34. 【同一労働同一賃金最高裁判決第一弾は10月15日に】20.9.・11
今日の新聞各紙に,昨日(9.10),最高裁第一小法廷で,契約社員として郵便物の集配を担当していた人たちが日本郵便を訴えた2件の訴訟で弁論があり,10月15日の判決が言い渡されることになった,との報道がされています。東京メトロ子会社の事件と大阪医科薬科大学の事件は9月15日に弁論が,もう一件の日本郵便の事件が9月24日に弁論が行われるため,早ければ10月末までに5件の最高裁判決が出そろうのでは,と言われているようです。

35. 【下請け手形決済60日に統一へ】20.9.14
9.12の日経新聞の朝刊で、「政府は下請け企業への支払いに使われる約束手形の決済期限を「60日以内」に短縮する。現在は最長120日まで設定でき、中小企業が納入した商品などの代金を受け取るまで時間がかかることがあった。慣習の是正を促し中小企業の資金繰り改善を後押しする。経済産業省と公正取引委員会が下請法の実質的な運用ルールとなっている通達を年内に見直す。繊維産業で90日以内、自動車・機械で120日以内と定めている決済期限を短縮し、一律60日以内と明記する。」との報道がされていました。下記URLは公正取引委員会のHPで、現在の通達ですが、一律60日になると実務に色々影響がありそうです。
https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/saito.html

36. 【サブリース】20.9.15
サブリースとはアパートなどの賃貸住宅を業者が大家から借り上げ、入居者に転貸するもので,大家は家賃の収納業務などを任せられるほか、安定した家賃収入を得られる利点があります。他方,「サブリース業者から十分な説明がないまま契約を求められた」であるとか、「契約後に大幅な賃料減額などの条件変更を求められた」などのトラブルも少なくありません。このようなサブリースのトラブルを減らすために、2020年6月に成立したのが「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」です。サブリース会社の営業手法などを規制するほか、賃貸住宅の管理会社は国土交通相への登録が必要になります。下記,この法律を紹介する国交省HPのURLです。

https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000200.html

37. 【同一労働同一賃金最高裁判決第一弾は10月13日に】20.9.16
今日の新聞各紙に,東京メトロ子会社「メトロコマース」の元契約社員と大阪医科薬科大の元アルバイト職員が、正職員には支給される賞与や退職金がないのは違法だとして待遇格差の是正を求めた2件の訴訟の上告審弁論が9月15日、それぞれ開かれ、最高裁第3小法廷はいずれも10月13日に判決を言い渡すと決めた,との報道がされています。9月11日のオンライン通信で,最高裁第1小法廷が契約社員として郵便物の集配を担当していた人たちが日本郵便を訴えた2件の訴訟の判決が10月15日に言い渡されることになった,と配信しましたが,それより前に上記が言い渡されることになりましたね。

38. 【必要的弁護事件】20.9.17
元法務大臣の河井夫妻の公職選挙法違反事件で,河井元法相が弁護人全員を解任したため,刑事裁判を進めることができない状態になっている,との報道がされています。「自分で弁護人を解任したんだから,弁護人抜きで進めればいいじゃないの」と思われる方がおられるかもしれません。この点,民事事件では,「本人訴訟」と言って,弁護士を代理人に付けずに裁判を進めることは可能ですが,刑事事件については,最終的に被告人の有罪・無罪を決めて,有罪であれば,刑罰を科す,という国家権力の究極の行使を行う手続のため,一定の重さ以上の事件では,弁護人抜きでは進められないことになっています(必要的弁護事件)。下記が刑事訴訟法の条文です。

【刑事訴訟法】
第二百八十九条 死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。
○2 弁護人がなければ開廷することができない場合において、弁護人が出頭しないとき若しくは在廷しなくなつたとき、又は弁護人がないときは、裁判長は、職権で弁護人を付さなければならない。
○3 弁護人がなければ開廷することができない場合において、弁護人が出頭しないおそれがあるときは、裁判所は、職権で弁護人を付することができる。

39. 【タトゥー医師法違反無罪最高裁判決】20.9.18
今朝の新聞各紙で,医師免許を持たずにタトゥーを施したとして医師法違反の罪に問われ、二審で無罪となった男性の上告審で、最高裁第二小法廷(草野耕一裁判長)が,「タトゥー施術には美術的な意義があり、医療ではない」と判断し、検察側の上告を退け,無罪判決が確定した,と報道されています。

朝日新聞(9.18朝刊)によると,最高裁は,「医師免許を必要とする『医行為』を『医療や保健指導に属する行為』のうち、医師が行わないと保健衛生上の危害を生じる行為と定義し…今回のようなタトゥー施術は『装飾的、象徴的な要素や、美術的な意義がある』と受け止められ、医療とは考えられてこなかったと指摘。医師免許を取るうえで美術の知識は必要とされず、医師ではない彫り師がタトゥーを施してきた長年の歴史にも触れた。こうした社会通念に照らせば医療と認められず『医行為に当たらない』と結論づけた。施術の危険性については、彫り師に医師免許を取らせるのとは別の方法で防ぐしかないと指摘した。」とのことです。

【医師法 抜粋】
第17条 
医師でなければ、医業をなしてはならない。
第31条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十七条の規定に違反した者

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